あらすじ・概要
編集者のあさひは、憧れの作家御崎禅の担当になった。しかし彼は、大正時代に日本に渡ってきた吸血鬼だった。映画をきっかけにあさひは御崎に編集者として受け入れられる。あさひは人外にまつわる事件について警察に協力する御崎を補助しながら、彼の長編小説を出版することを夢見るが……。
映画好きふたりの掛け合いが楽しい
初対面は最悪の印象だったあさひと御崎が打ち解けるきっかけが「映画についてのオタクじみた語り」というのが面白くて笑ってしまいました。
実在の映画が出てくるので「ああこんな映画あったなあ懐かしい」と思えて楽しかったです。
しかし結末に触れている映画もあるので、これから見る作品のネタバレに一切触れたくない人は読んではいけない小説だと思います。
全体的にテンポがよく、さくさく話が進むので早く読めます。
前述する映画の話も含めて、キャラクター同士の掛け合いが楽しくてページをめくるのが早くなってしまいました。
とはいえかなり設定はがばがばです。世界観に置いてどれだけのでたらめが通用するのかよくわからないし、警察はコンプライアンスがめちゃくちゃだし。キャラクターが他人の秘密をべらべらしゃべるので、こいつら大丈夫かと思ってしまいます。
しかし細かいことを気にしない姿勢があるからこそテンポの良い展開ができるとも言えます。伏線の回収を出し惜しみせず、がんがん種明かししていくのはいっそ潔いです。「そういう娯楽作品」と割り切って読むならありなのではないでしょうか。