あらすじ・概要
ランキング1位の男、獅子堂煉が学園へと帰ってきた。彼が練習パートナーに指名したのは、ランキングの低い沙月だった。一方で中国卓球界の新星リュウ・メイリンが学園に編入、白鳳院瑠璃の姉、紅亜を中国に連れて帰ろうとする。ふたりの登場は、波乱の幕開けだった……。
続いても安易にラブコメしない潔さ
1巻読んだときは「どうせ話が続くうちにしょうもないラブコメ要素が挿入されるんだろうな……」とひねくれた目で見ていたんですが、2巻読んでみるとより美少女とキャッキャウフフするような展開は減っていました。
いや、瑠璃や椿やメイリンは美少女なんですけど、その美少女っぷりを堪能するようなシーンがほとんどないんですよね。むしろ描かれているのは卓球にかける少女たちのかっこよさ。萌え小説としては間違ってるけどスポーツ小説としてはめちゃくちゃ正しいです。潔いなあ。
新キャラのメイリンは、わがままで奔放でなんだこいつ……と思うシーンもありましたが、読み進めるうちにその態度は自信と不断の努力で裏打ちされていることがわかります。最終的には自分のためとはいえ、周囲を鼓舞することをためらわないまっすぐさがまぶしかったです。
今回は悪役ポジションであろう獅子堂も、彼なりに思想があり、悩みがあって周りに接しているのがわかります。それが許せるかというと別の話ですが、そういう背景があるからこそ話に深みが出ます。
悪は悪、善は善という安易に白黒分けない人間の描き方が好きです。
あと序盤のかませ犬がもう一度登場してちょっと主人公の利益になる行動するの好きですね。だからと言っていい人になるわけでもないというのも好き。キャラクターを最大限生かそうとしてくれる作家なんだなあ。
結構読むのに時間がかかる本なんですが、時間をかけても読んでよかったと思える作品でした。面白かった。