あらすじ・概要
田舎の田園地帯に暮らす夏織(かおり)の家の隣に、魔王が引っ越してきた。ファンタジー世界から抜け出たような彼に夏織は戸惑うが、地域の住民はあっさり受け入れているようで……。夏織は、ご近所さんとして魔王と付き合い、その一般人とは違う思考回路に振り回される。
ほのぼの日常もので文章が上手い
のんびり読めるほのぼの日常ものでありながら、文章のクオリティがすごかったです。ラノベらしいポップな語り口で、読みやすく、ところどころのユーモアが利いている。すごく文章の上手い作家だと思います。
あらすじ自体は本当に何気ないもので、洗濯機の使い方を教えたり、流しそうめんをやったり、花火をやったり、とりたてて大きな伏線もなければどんでん返しもありません。そういう何気ない話をここまで面白く愉快に書けるのがすごいです。
やたらと古風で中二病なしゃべり方なのに案外お人好しで、子どもっぽいところもある魔王と、普通の女子高生だがツッコミ力が高くモノローグの面白さが群を抜いている夏織の、恋愛要素のない交流は本当によかったです。
お互いに好意や情はあるものの、恋愛フラグが立たない関係っていいよね。2巻目でどう描かれるかはわかりませんが……。
舞台となる田舎の描写もよかったです。都会っ子としては田舎あるあるに共感しにくいけれど、田舎の独特の文化を自虐的になりすぎず舞台装置として活用するところが好きです。実際には面倒くさいことも多いでしょうが、その面倒くささもギャグのネタにしてきます。
すごく面白かったです。次巻も楽しみ。