ブックワームのひとりごと

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嫁姑の戦いをするうちに町を救う戦いへとたどり着く―草野誼『かんかん橋をわたって』

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かんかん橋をわたって (1) (ぶんか社コミックス)

 

あらすじ・概要

三つの地区に分かれている町で、川南(かーなみ)から川東(かわっと)へ嫁いできた渋沢萌。優しい夫とともに、嫁として毎日頑張っているが、どこかうまくいかない。そんな折、萌は自分の姑が「川東一のおこんじょう(意地悪)」と呼ばれていることを知る。自分の家族を信じたい萌はそれを否定するのだが……。

 

めちゃくちゃだけど漫画力のある作品

最初のあらすじだけ見ればどろどろ嫁姑戦争だし、実際その要素もふんだんにあるんですけれど、それだけでは終わらない漫画です。めちゃくちゃ面白いけどカテゴリ分けがしづらい。

読み進めているうちに川東には「嫁姑番付」なるランキングが存在することが判明。その辺からツッコミどころが多くなってきますが、物語は気にせずどんどん進行していきます。そしてついには、川東を覆っている悪しき文化、その文化を創り出しているラスボスと対決することになります。嫁姑漫画ってこんなに壮大でしたっけ?

 

説明してしまうとイロモノなだけみたいに思われるかもしれないですが、とにかく漫画がうまくて、もっと読みたい、結末が知りたいという一心でどんどん読み進められます。

また、どろどろしていつつも女性同士の友情や信頼、共闘関係が描かれていてさわやかなシーンも多いです。弱い立場にある女性同士が助け合い、手を取り合って社会の理不尽に立ち向かっていく、シスターフッドの物語なんですよね。少年漫画という評もあるけどこの点は女性向け漫画だと思います。

 

面白いとは聞いていたけど「レディコミはなあ」と何のかんのと読むのを後回しにしていて、読んでみて自分の偏見を反省しました。漫画はいろんな可能性があるし、嫁姑漫画もそうなんですよね。もっと自由に、フィクションを捉えてもいいのかもしれないと思いました。