あらすじ・概要
音楽関係の仕事をしていたが、持ち前の不器用さで貧困に陥っていた著者。そんな中、恋人にプロポーズされ、兼業主夫として生きていくこととなる。だが、主夫としての日常は、かっこよくもなく洗練されてもいなかった。情けなさとユーモアと、それでも存在する日常のやりがいを描いたコミックエッセイ。
しょうもないけど癒される話
なんとなく家事をやる男のジェンダーについての洞察を期待して読んだらそういう本ではありませんでした。いやそういう面もなくもないんですが、それより強く描かれているのは、とほほな日常です。
でも実際家事をやるってそういうことのほうが多いよね、と共感できました。完璧にかっこよく家事をやるなんて大変すぎて無理! たとえ主夫という家事労働者であってもです。
日々の家事のしょうもない失敗やささやかな葛藤をふふっと笑いながら読めて楽しかったです。
著者自身は、妻を支えることにやりがいを見出しながらも、音楽活動で身を立てることに未練がある、とはっきり描いています。それはそうだよなあ。この辺は嘘をつかずにいてくれてよかったです。
家事をやって暮らすってどこか後ろめたさが伴うのはなぜでしょう。ちゃんと家族に受け入れられて暮らしていたら恥じることはないはずなのに。
印象的だったのが妻の犬山紙子氏の豪胆でおおらかな性格で、不器用な著者の支えになっているのだろうなとわかります。
コミックエッセイなのでいいところだけ描いてあるところはあるでしょうが、それでもお似合いのカップルだなあと思いました。