あらすじ・概要
著者の夫はある日突然心肺停止。治療は受けたものの植物状態になり、目覚めなくなってしまった。著者は病院へ夫に毎日会いに行き、話しかけたり、髪の毛を洗ったり、さまざまな介護をする。不安や後悔が入り混じる日々の中で、「できること」を探し実践する。
もしも夫が植物状態になったら
境遇自体は過酷ですが、漫画としては明るいタッチで、しかも植物状態でほとんど何もできない夫に「かわいい」と声をかけられるくらい愛が深いです。だから深刻になり過ぎず、親しみを持って読めます。
植物状態になるとどういう治療を受け、看護やリハビリはどうするのか? ということが患者の妻の視点から描かれているのもよかったです。何となく植物状態になったら何もされないのかと思ったら、刺激を与えるためにいろいろな試みがなされることがわかりました。
植物状態なので患者の反応は頭を振って嫌がったり歯を噛みしめたりすることぐらいなんですが、ひとつひとつの行動を噛みしめるように観察している著者が印象的でした。
こんな境遇の人そうそういないだろう……と思ったら、医療従事者の人や家族を看病して暮らしている人には有用な情報だったようで、著者はいろいろメッセージをもらったようです。自分が知らないだけで、「特殊な境遇」な人って結構いるものですね。反省。
コミックエッセイとしてはかなり珍しい題材であり、そういう意味では面白かったです。おすすめ。