ブックワームのひとりごと

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ナメられたら〇すの社会で生き延びようとする女性―喜多みどり『デ・コスタ家の優雅な獣2』

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デ・コスタ家の優雅な獣2 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

ファミリーの一員として認められたロザベラだったが、仕事でいい結果を残すことができず、襲撃事件をきっかけにセーフハウスに軟禁されることになる。自由を求めるロザベラは、エミリオに有用だと思ってもらうため、自分を襲撃した海外の敵対組織を調べる。

 

犯罪組織の描写がいい

ファミリーの一員として認められてよかったね……とはならず、さらに結果を求められるところはシビアでした。

でも基本的にロザベラを幽閉するのが最適解ではあるのでそうなりますよね。「幽閉するより外に出していた方がいい」と思わせる女にならないといけません。

 

展開が早く、どんどん読み進めたくなるハラハラ感は2巻でも健在です。今回は海外の犯罪組織も登場し、話のスケールが大きくなってきます。

そしてヤクザなりのプライドと、なぜプライドを曲げてはならないのか、の描写が面白かったです。

「ナメられたら殺す」が自力救済の世界だとTwitterで見かけたんですが、自力救済の社会で生きて来たからには自分を肯定するためにあとには引けない。めちゃくちゃホモソーシャルではあるのですが、どんな思想にもバックグラウンドはあるのだなあと思いました。

 

いつか動くだろうな、と思ったキャラが案外早く裏切るなど、とにかく展開が早いです。伏線をしつこく引きずらないところは好きですね。次巻も楽しみ。