ブックワームのひとりごと

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北欧神話を元にしたオペラをオリジナル要素を交えてコミカライズ―池田理代子・宮本えりか『二―ベルンクの指輪』

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ニーベルンクの指輪(1)

 

あらすじ・概要

青年ジークムントは、敵の部族の長の妻の女性ジークリンデと恋に落ち、関係を持ってしまう。そのことを怒った婚姻の女神が主神ヴォーダンに進言し、ジークムントは殺されてしまう。しかしヴォーダンの娘ブリュンヒルデはジークリンデを助け、逃がしてやった。ヴォーダンは自分の命令に背いた娘に罰を与えなければならなくなった。

 

内容にツッコミどころはあるけど漫画としては楽しかった

内容にツッコミどころはかなりありますが、演出や描写は面白く、読んでよかったと思います。

 

まずツッコミどころの話をします。この作品は北欧神話をベースにしていますが、多神教の価値観で育った身からすると「神様ってこんな感じじゃないよなあ……」と思ってしまいます。神の行動原理が理屈っぽすぎます。神様ってもっと理不尽だからなあとつい考えてしまいます。

それからコミカライズのオリジナル要素としてアドルフ・ヒトラーが登場するのですが、このオリジナル要素があまりうまくいっていません。改変するにしたって中途半端なんですよね。がらっと別物にするか、原作に忠実にやるかどちらかにしたほうがいいと思います。

 

しかしコマ割りや構図、演出はとても美しく、ストーリーのツッコミどころがあってもなかなか楽しかったです。

男と女の情念、感情、愛があの手この手で絵として爆発し、紙の上で舞い踊ります。こういう作品は少女漫画の文脈でしか書けないですね。

絵柄は古いけれどめちゃくちゃ上手で、イケメンも美女も堪能できました。

 

内容にツッコミどころがあっても楽しめる漫画もあるんだな……と思いながら完結まで読みました。面白かった。