あらすじ・概要
青年ジークムントは、敵の部族の長の妻の女性ジークリンデと恋に落ち、関係を持ってしまう。そのことを怒った婚姻の女神が主神ヴォーダンに進言し、ジークムントは殺されてしまう。しかしヴォーダンの娘ブリュンヒルデはジークリンデを助け、逃がしてやった。ヴォーダンは自分の命令に背いた娘に罰を与えなければならなくなった。
内容にツッコミどころはあるけど漫画としては楽しかった
内容にツッコミどころはかなりありますが、演出や描写は面白く、読んでよかったと思います。
まずツッコミどころの話をします。この作品は北欧神話をベースにしていますが、多神教の価値観で育った身からすると「神様ってこんな感じじゃないよなあ……」と思ってしまいます。神の行動原理が理屈っぽすぎます。神様ってもっと理不尽だからなあとつい考えてしまいます。
それからコミカライズのオリジナル要素としてアドルフ・ヒトラーが登場するのですが、このオリジナル要素があまりうまくいっていません。改変するにしたって中途半端なんですよね。がらっと別物にするか、原作に忠実にやるかどちらかにしたほうがいいと思います。
しかしコマ割りや構図、演出はとても美しく、ストーリーのツッコミどころがあってもなかなか楽しかったです。
男と女の情念、感情、愛があの手この手で絵として爆発し、紙の上で舞い踊ります。こういう作品は少女漫画の文脈でしか書けないですね。
絵柄は古いけれどめちゃくちゃ上手で、イケメンも美女も堪能できました。
内容にツッコミどころがあっても楽しめる漫画もあるんだな……と思いながら完結まで読みました。面白かった。