ブックワームのひとりごと

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犯罪組織のヒロインは誰のものにもならない―喜多みどり『デ・コスタ家の優雅な獣5』

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デ・コスタ家の優雅な獣5 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

ダリオのプロポーズを受けたロザベラ。デ・コスタ家が結婚式のために準備をする中、敵対勢力との抗争の危険性が高まっていく。抗争を止めたいロザベラは、エミリオに幽閉されてしまう。それでもあきらめない彼女は、殺し合いを防ぐある賭けに打って出る。

 

大団円というわけではないけどいい結末だった

大団円というわけではありませんが、キャラクターそれぞれが自分の価値観を全うした、これはこれでいい結末だったと思います。

 

抗争を止めたい、デ・コスタ家の人々にも死んでほしくない、というロザベラが下した決断は、苦いものですがこの段階では最善だったと思います。実質的なドンのダリオとリカルドの前で切った啖呵は、彼女の成長を感じさせました。

 

ロザベラを支配したい、モノにしたいと思う男がいる中、ロザベラが最後まで誰かのものにならなかったのもよかったです。女性は男性の所有物ではないということを示しながら、恋愛も成就する。この作品の根底にあるモラルを感じましたし、そういうモラルがあるから倫理のない展開をやってもつらくなりすぎないのでしょう。

 

最後は少し駆け足でしたが、5冊の短いシリーズにぎゅっと面白さが詰まっている作品でした。面白かった! また著者の他のシリーズも読んでみたいです。