あらすじ・概要
アルコール依存症の父と宗教にハマった母を持つ著者は、大人になってから自分の家庭が普通ではないと気づく。著者は自分以外の「毒親」を持つ人々に取材し、そのエピソードを漫画にすることにした。劣悪な家庭環境をサバイブしてきた人々の、今の立ち位置とは……。
生き延びて本当によかったね
毒親の内容はいろいろであり、そして子どもたちがその後どんな人生を歩んできたのかもいろいろですが、その分多様な価値観に触れられてよかったです。
エピソードの中には裕福な家庭もあり、単純に「問題のある家庭=貧困家庭」でないことがわかります。お金があったとしても、子どもを育てることを放棄してしまった親に、子ども自身は傷つくのでしょう。
個人的には医学部出身のライター、朽木誠一郎氏の体験談が面白かったです。彼は医学部進学を強く望む母親に振り回され、結果的に医者になるのをやめてライターになりました。
医学部時代、他人を否定的にとらえ、周りから孤立してしまう朽木氏と、現在の朽木氏とが大きなギャップがあって驚きました。それでいて、こうして自分のだめだったところを今振り返ることができるのもすごいですね。
10代~20代は精神的に不安定になる人が少なくないでしょうが、その上親の問題があると葛藤はものすごいと思います。
毒親という同じ問題を持つ人たちが、「頑張って生き延びたね」と励まし合うようなそんな作品でした。