記事を立てるほどではない感想のまとめです。
- 斉藤環・内田良『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』
- 最上うみみ『お酒で壊れた人が集まる場所で』
- 木﨑ちあき『博多豚骨ラーメンズ』
- 岬鷺宮『日和ちゃんのお願いは絶対』
- 井上純一『月とにほんご 中国語嫁日本語学校日記』
- 町田洋『惑星9の休日』
- 貴戸理恵『「コミュニケーション力がない」と悩むまえに――生きづらさを考える』
- 蛸山めがね『てくてく巡礼〜秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社〜』
- 『レディ・ブルー』
- 八目迷『夏へのトンネル、さよならの出口』
斉藤環・内田良『いじめ加害者にどう対応するか 処罰と被害者優先のケア』
いじめられた側が、転校したり保健室登校になったりするのは「排除」ではないのか。いじめたほうがきちんと批判され対応されなければいけないのではないだろうか。いじめ加害者への対応を語ったブックレット。
要するにいじめには学校と法五社だけではなく第三の存在がガンガン介入すべきだ! ということを主張する本でした。
それ自体は間違ってはいないでしょうが、著者がかなりけんか腰で介入しようとしているのが気になりました。こんなけんか腰で言われたら教師も保護者も心を閉ざしてしまうのではないでしょうか。
最上うみみ『お酒で壊れた人が集まる場所で』
アルコールに依存するようになって、自助会の存在を知った著者。尋ねると、そこではアルコール依存症患者たちの壮絶な体験談が語られていた。著者自身も、アルコール依存の母親との関係を振り返ることになる。
自助会ってこういう仕組みなんだなあということや、お酒にまつわる壮絶な経験は興味深く、面白かったです。
なかなかお酒がやめられない日々の中、あがいていく人々の姿が印象的でした。
木﨑ちあき『博多豚骨ラーメンズ』
人口の3%が殺し屋の街、博多。女装の殺し屋、騒動に巻き込まれた新入社員、市長のお抱え殺し屋などが、福岡市長の息子をめぐる事件に巻き込まれていく。そして謎の殺し屋にわか侍の正体とは……。
地の文のテンポがよくすらすら読めました。ガンガン話が展開していくので心地いいです。引っかかることなくサクッと読了しました。
ただ、ものすごく性的マイノリティの描写が雑だったのは悲しかったですね。そもそも倫理のない作品だということを差し引いてもちょっと‥‥と思いましたから。
岬鷺宮『日和ちゃんのお願いは絶対』
ある日「俺」に告白してきた葉群日和。彼女との交際を始める「俺」だったが、実は彼女には重大な秘密があった。彼女の「お願い」は誰でも聞いてしまうこと、そしてその「お願い」によってテロや戦争を防ごうとしていること。「俺」はそれを知りつつも日和との関係を続ける。
サクッと読めはしたけれど続きを読もうと思えるほどには刺さりませんでしたね。
尾道の風景を利用した展開はよかったです。
あとイラストがかわいい。
井上純一『月とにほんご 中国語嫁日本語学校日記』
中国人の妻と結婚生活を送る著者。そんな中、妻、月(ユエ)が日本語学校に通うことになり、その学費の高さから「漫画にしてネタにしよう」と決意する。さまざまな人が集う日本語学校の中身とは……。
様々な事情から日本語を学ぶ外国の人たちの姿が面白かったです。
ただ、日本語の疑問よりももっと学校の人々のネタが見たかったと思ってしまいました。そっちの方が面白かったからです。
町田洋『惑星9の休日』
SF短編集。
漫画が上手いのはわかりますがあまり刺さらなかったです。短編とは相性が良くないのかもしれないですね……。
貴戸理恵『「コミュニケーション力がない」と悩むまえに――生きづらさを考える』
昨今叫ばれる「コミュニケーション力」しかしその中で生きづらさを抱える人もいる。果たしてどうすべきか?
「私たちが選択できることは限られているのだ」という結論自体は納得できますが、そのためにこんなに回りくどい言い方をする必要はなかったのではないかと思います。
結論自体はありきたりで構いませんが、そこに至るまでの説得力がもう少しほしかったです。
蛸山めがね『てくてく巡礼〜秩父札所三十四ヶ所観音霊場&三峯神社〜』
秩父のお寺を歩いて巡るコミックエッセイ。
題材は珍しかったけど背景がかなり見づらくて読みにくかったです。旅エッセイは背景が重要ですね。
『レディ・ブルー』
主人公がかわいい彼女とデートをする、ショートショートをゲームにしたようなノベルゲーム。
最初に覚えた違和感がどんどん大きくなっていき、種明かしをされたときは驚きとやるせなさを感じました。
短い中に、多くの伏線が張り巡らされているところが面白いです。
ゲーム画面もすごくきれいで楽しいです。
八目迷『夏へのトンネル、さよならの出口』
通ると願いが叶うが、年をとってしまうトンネル「ウラシマトンネル」を巡る青春小説。
序盤の心理描写は面白かったんですけど、後半にかけて失速した印象です。
人物をストーリーにむりやり合わせてしまった感じがありました。
でも不良っぽい女の子の本当の思考を知るシーンはよかったです。