あらすじ・概要
性的暴行、DV、セクハラなど、女性はさまざまな暴力にさらされている。しかしそれに異議を唱えるのは、同じ女性ばかりだった。ホワイトリボン・キャンペーンは男性が当事者として男性の暴力に反対し、女性や子どもへの暴力をなくそうと活動する取り組みである。
ときにはマッチョなイメージを利用してでも女性への暴力に反対する
DVは女性から男性より、男性から女性へのほうが圧倒的に多いです。それなのに男性が当事者として、女性への暴力防止へ取り組んだことは今まで少なかったのです。著者たちは男性として男性の暴力防止に取り組みます。
話題として面白かったのはオーストラリアのホワイトリボン・キャンペーンはあえて古典的な男らしさを利用して活動していることです。ホワイトリボンのマークをかっこよくごつごつしたデザインにしたり、大きなバイクで集まって女性への暴力反対を唱えたり。
それはちょっと不思議な光景ですが、古典的な男らしいデザイン、乗り物が好きだからと言って、女性へと暴力を振るうとは限りません。活動に興味を持ってもらうために、マッチョな表象を活用する逆転の発想は面白かったです。
少しではありますが、女性から男性への暴力や、同性パートナー間でのDVについても取り上げられています。暴力を受ける男性へ、今すぐシェルターを増やすというわけではなくても、相談を受けたときどう対処するのか考えておかなければならないとコラムでは説かれています。
この本のレビュー欄にもミソジニー的なコメントがついています。そういう人が今すぐいなくならないとしても、男性と女性が連帯して、世論を作っていくのが大事なのでしょう。