あらすじ・概要
漫画でルポルタージュを描くことを仕事にしている著者、菊池真理子。しかしその内面はネガティブで、漠然とした生きづらさに悩まされていた。過剰な繊細さ、人付き合いへの疲労、本音を言うことへの抵抗など、著者自身が自分のネガティブさを紐解いていくコミックエッセイ。
オチは用意されてないけれどリアリティがある
ネガティブな人間が自分語りをしているだけで、具体的な解決策が示されるわけではありません。きれいなオチが用意されていないので好き嫌いが分かれる作品だと思います。
しかし何かをすることで自分の内面が劇的に変わるわけではないので、これはこれでリアリティのあるエッセイでした。
著者はちょっとしたことで自分を責めたり、一度断られた頼みごとを二度とできなかったり、ひとりが好きなのにひとりでいることに罪悪感を抱いたり、自分を大事にすることに抵抗があったりします。
しかしそれを読んだ友人たちから「そんなことを考えてたんだ」と反応され、しかしながら引くことなく友人関係を続けてくれた人たちが多かったのです。
ネガティブでも、思い切って自分の話をしてみること、世の中とは違う価値観を持つ自分を表現してみることは大事なのかもしれません。
読んでいると、著者は面倒な性格ではあるけど他人を心から憎んだりできないたちなのだろうなと思います。
そういう人間だから「インタビューをして漫画を描く」ということが得意なのかもしれません。
私の自分語りになってしまうんですが、著者のネガティブさがうつ状態の私とそっくりで笑ってしまいましたね。メンタルの調子の悪い人間の考えることって、だいたい同じなのかもしれません。