あらすじ・概要
イスラエルを観光した著者は、その後パレスチナ自治区へ向かう。イスラム教徒たちが暮らすはずのその場所は、イスラエル軍による厳しい監視がなされていた。著者は宗教施設や歴史的な場所を巡りつつ、パレスチナの今について考える。
ただ町を歩くだけでもひりつく緊張感
イスラエル編にて予告されていたパレスチナ自治区編。観光と言いつつも、ふたつの民族が対立する町を歩くさまは、ひりつくような緊張感があります。
著者はパレスチナ自治区にある宗教施設や、歴史的な場所を巡りますが、どこに言ってもイスラエル軍兵士に出くわします。イスラエルの兵士はパレスチナ人を厳しく監視しています。
歴史的、文化的な施設に大きな銃を持った兵士がうろうろしているのは、なかなか冒涜的な風景に見えます。
抑圧の中、日々の暮らしを続けることこそが抵抗の証とするパレスチナの人々が印象的でした。
「ユダヤ人もパレスチナ人にも親切な人がいた」と振り返る著者の言葉がもの悲しかったです。観光客はどちらの味方でもないからこそ、両方に優しくしてもらえる。もし著者が彼らの目の前でどちらかの肩を持つような真似をしたら、変わっていたのかもしれないですね。
戦争はやめてほしいですけど、「極東の異教徒に何がわかるんだ」と言われれば反論できません。何を発言すれば人々のためになるのかわからないまま、漫画を読み終えました。
せめて赤十字に募金でもしようかな。