あらすじ・概要
貧困の中にいる高校たちがいる。進学費用を払えない、奨学金という借金を背負わされる、制服や体操服のおさがりを他人にねだる……等、苦難を続けている高校生たちに、NHKスペシャル取材班が会いに行く。
貧困の中で貧困を隠す子どもたち
貧困の中で健気に暮らす高校生たちは美しいですが、その健気さに大人が甘えてはならないと強く思います。
本を通して感じるのが、高校生たちが、貧困の中にある自分自身を「恥ずかしい」「人には言えない」と思っていることです。
プチプラの化粧品や衣服を買い、アルバイトで自ら進学費用を稼いで、必死に「普通」になろうとしている高校生たちを見ると心が痛みます。
あるいは奨学金という名目で、多額の借金を抱える子どもたちもいます。
彼らは確かに今日明日は飢えないかもしれませんが、長い目で見ればじり貧の人生が待っています。取り返しがつかなくなる前に、飢えていない今対策を取らなければなりません。
特に、奨学金に関しては、景気がよかったころのシステムをそのまま運用してしまっているのでたちが悪いです。仕事がくさんあって、どの階層の人もそこそこ働けた時代に作っちゃったから返せる前提になってしまっています。何とかしてほしいです。
もちろん生活保護や、病気や障害を持っていれば障害年金など、頼れる福祉は存在します。
しかし、親の側が福祉を頼ることを拒否し、子どもたちを貧困のまま置いておく場合もあります。
親に福祉を頼る重要性について教えるのも大事ですが、授業料の減免など、子どもが直接恩恵を受けられる政策も必要でしょう。