ブックワームのひとりごと

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『春日局』池田理代子 フェアベル

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春日局(1)

 

あらすじ・概要

戦国時代に生まれた少女、福は、父親が明智光秀に与したことから逃亡生活になる。結婚して子どもをもうけたものの、将来への不安から徳川家康の孫の乳母となる。福はやがて、その孫である竹千代が将軍になるためにすべてを懸けるようになる。

 

強い女はかっこいいし怖い

強い女はかっこいいなあという気持ちと、血のつながりのない息子への執着が怖いという気持ちで引き裂かれています。ちいかわ風に言うと、「心がふたつある」状況になる作品です。

作品としては親子として両想いだからいいのですが、私が家光の立場だったら、ここまでされるのが怖いと感じるでしょうね。でも、身分の差だったり、主従愛が賛美される社会だったり、そもそも命の価値が軽かったり……という複合的な要素から、ただ怖い話ではない物語になっています。

 

のちに春日局と呼ばれるお福は、織田信長の死亡時に一族が明智光秀についていたことから、幼いときに逃亡の身の上になります。

最初は自分の子どものために竹千代(家光の幼名)の乳母となった福が、次第に竹千代に強い愛情を持つようになり、最後には自分の子どもより竹千代を優先するのが怖かったです。

しかし同時に、お福の聡明さ、精神力の高さ、とっさのときの判断力と、魅力も描かれています。かっこいいし、威圧感もあります。良くも悪くも、人の上に立つ能力のある人でした。

 

また、春日局の視点からにはなりますが、血縁同士で争い合った戦国時代のドロドロっぷりを学ぶにはいいと思います。

兄弟姉妹や親子で戦争をしている戦国時代は怖い! やくざみたいな思想がはびこる時代は過去のものであってほしいですね。

春日局(1)

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春日局(2)

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