あらすじ・概要
小学五年生の幸子は、久保というクラスメイトが気になるようになる。彼女は貧困家庭に暮らしていて、周囲からいじめを受けていた。幸子と久保は、友達になるが……。とある町を舞台に、貧困や差別、そしてそこから立ち上がろうとする人々を描いた連作中編。
貧困連鎖と親との関係と
ひとつのエピソードが長いので、連作短編というより連作中編という感じ。
弱い人たちが苦しさのあまりに加害者側に回ってしまうこと、親からかけられた呪いを解くのが困難なことは、今も昔も変わらないなあと思いました。
打ちのめされ、悩んでいる人間が、ふたたび立ち上がろうとする尊さを描いた漫画でした。
古い漫画ゆえに少々わざとらしい描写も含みますが、見ようによってはレトロで雰囲気があると言えるかもしれません。
実際、昭和の話ですしね。
作品の中で、繰り返し水害について語られるのですが、調べてみるとおそらく諫早豪雨のことのようです。
時期はずれているようですが、追悼のために川に灯篭を流すのも同じですね。
歴史的災害は、地元の人以外あまり思い出さなくなってしまうので、こういう形で知ることができてよかったです。