ブックワームのひとりごと

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『病が分断するアメリカ――公衆衛生と「自由」のジレンマ』平体由美 ちくま新書 感想

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病が分断するアメリカ ――公衆衛生と「自由」のジレンマ (ちくま新書)

 

あらすじ・概要

先進国で最も新型コロナウイルスの被害が大きかったアメリカ。アメリカの反ワクチンや反マスクの思想から、アメリカの分断を語る。アメリカに蔓延する医療、政治への不信感の原因とは……。

 

公衆衛生に反抗する人たちの事情

楽しい内容の本ではないですが、公衆衛生と政治や人種の問題について、丁寧に書かれていて興味深かったです。

 

アメリカは先進国の中で新型コロナウイルスが最も蔓延した国です。しかし、その事実を聞いてアメリカの人たちは公衆衛生を理解しない愚かな人たちなのだろう、と解釈するのは気が早いです。

例えば黒人の人たちは、ワクチンの接種率が低かったのですが、それはかつて黒人の人たちが人体実験に遭い、医学に強い不信感を抱いているからです。

また、アメリカでは口を覆うマスクが、反社会的な行動や団体と結びつけられてきた過去があります。

一見、愚かな行動に見えたとしても、根底には社会への不信感があります。この不信感を、理屈だけで取り除くのは難しいでしょう。

 

結局、人は科学的事実だけで動かないので、感情に訴えていくことも大事なのでしょう。しかし、それは科学者が最も苦手とする行為だと思うので、難しいですね。

私も実のところ、理科系の科目が苦手で科学的センスがないので「この人の言うことなら正しいだろう」という風に判断することも多いです。

 

外国のことだからちょっと客観的に見られるだけで、似たような問題は日本にもいくらでもあります。

社会が分断されるのはつらいですが、諦めずに発信を続けていこうと思います。