あらすじ・概要
見ることに困難がある視覚障害の人たち。その人たちが情報を得るため、点字というものが考案された。視覚障害について知ると、他の人たちが見える世界に縛られていることに気づく。文化人類学者と天文学者というふたりの著者の視点から「さわる」文化を考えてみる本。
点字と点図から触る文化を考える
主に、視覚障害の人が利用する点字、点図の話です。
前半は視覚障害の人による、点字文化の重要性や「さわる」文化の大事さ。著者は視覚障害者として視覚障害の人々の文化を研究しています。
国立民族学博物館は大阪にあるので、何度か行ったことはありますが、「さわる」展示にこういう意図があったとは知りませんでした。
実際に展示物に触ることのできるコーナーがあるので、興味がある人は行ってみてください。
後半は天文学者が点で図柄や形を示す、点図に挑戦する話です。
ただ絵を立体的にするのではなく、細かい調整が必要な作業です。
点と点が近すぎると知覚できなかったり、重なりあう部分をどう表すかだったり、点図ならではの悩みがあるのが面白かったです。
ただ、本の雰囲気は、押し付けがましく感じるところもあります。
障害を、無理にポジティブなものとして考える運動は、理解はしても共感はできないんですよね。
障害を持って生まれることは、雨が降ったり止んだりすることと同じくらい意味がないことです。
雨でも明るく過ごせるかどうかは日によるので、ネガティブな日にポジティブな意見を押しつけられても私は嫌ですね。
一方、ポジティブさに救われる人もいるからこそ、こういう本が出版されるのでしょう。価値観の相違ですね。