ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

障害者

『大震災自閉っこ家族のサバイバル』高橋みかわ編著 ぶどう社 感想

東日本大震災のとき、自閉症の人たち「自閉っこ」はどうしていたのだろうか。自閉症の人がいる家族が震災当時どうしていたのかを、手記の形式で語る。そこで見えてきた近隣住民との絆と、絆では解決できない問題。災害時に自閉症の人をどう助けるべきか語る…

『耳がきこえないうささウワサのユニバーサルスポットをゆく』うささ 産業編集センター 感想

あらすじ・概要 耳が聞こえない人として暮らしている著者が、障害のある人達に配慮している店やスポットを巡る。聴覚障害の人たちが働く飲食店や、筆談と手話のみで話せる店、障害のある人たちが集う映画館、手話にまつわる企画など、さまざまな形態がある。…

『マイノリティの「つながらない権利」――ひとりでも生存できる社会のために』雁屋優 明石書店 感想

あらすじ・概要 ASD、アルビノなどさまざまな属性を持つ著者は、つながらなければマイノリティについての知識を得られないことにぶつかる。当事者会のメリットも認めつつ、当事者同士が助け合わなければならず、行政の支援が滞ることに憤っていた。つながら…

『音のない世界と音のある世界をつなぐ――ユニバーサルデザインで世界をかえたい!』松森果林 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 ユニバーサル・デザインとは、障害のある人や外国人などにもわかりやすいデザインのこと。著者は聴覚障害の人にとって暮らしやすい世界を目指して、ユニバーサル・デザインを広める活動をしている。聴覚障害の人たちの被災体験や、著者の来歴…

『新版 障害者の経済学』中島隆信 東洋経済新報社 感想 経済学から見た障害者制度の矛盾とこれから

あらすじ・概要 障害のある子どもを育てていた著者は、経済学者として障害者を考える。経済学における差別の考え方や、障害者雇用や制度の矛盾点を描く。障害者の労働はなぜ社会のお荷物人ってしまい、ひとりの労働者として認められていないのか、その背景を…

『やさしい日本語ってなんだろう』岩田一成 ちくまプリマ―新書 誰もが理解できる簡単な言葉とは何か

あらすじ・概要 わかりやすく、簡単な日本語で情報を伝えようとする「やさしい日本語」の運動。その運動のあらましや、文章を「やさしく」するコツ、現代の日本が抱える言語的少数派の悩みなどを解説。言葉による「やさしい」を考えると、少数派の日常の困難…

『ハンチバック』市川沙央 文春e-BOOKS 感想

あらすじ・概要 遺伝子性の難病を持つ主人公の女性は、背骨が歪み、自由に歩くことができない。お風呂にも介助が必要だ。大量に本を読み、40代になっても大学生として勉強をしレポートとして提出する。こたつライターをして小金を稼ぐ。そんな中、いくつもあ…

『さわっておどろく! 点字・点図がひらく世界』広瀬浩二郎 嶺重慎 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 見ることに困難がある視覚障害の人たち。その人たちが情報を得るため、点字というものが考案された。視覚障害について知ると、他の人たちが見える世界に縛られていることに気づく。文化人類学者と天文学者というふたりの著者の視点から「さわ…

山本おさむ『わが指のオーケストラ』秋田書店 感想

あらすじ・概要 音楽家になりたかったが家庭の事情で諦めなければならなかった高橋潔。彼はろう学校に就職し、そこでろうの子どもたちが手話を覚え、社会を学んでいく姿に感動する。しかし口話法という、ろうの子どもたちに無理に聴者の言葉を教える教育法が…

【文化人類学者がろう者の世界に飛び込んだら違いだらけだった】亀井伸考『手話の世界を訪ねよう』感想

あらすじ・概要 ろう者の世界を想像するときに、つい「聞こえなくてかわいそう」という思考になってしまう。しかし著者がろう者の世界に飛び込んだところ、そこでは豊かなコミュニケーションがなされていた。ろう者のための言語、手話を紹介しつつ、健常者と…

【ストレスと共存しながら知的・発達障害のある子どもを育てる】まる『シンママのはじめて育児は自閉症の子でした』

あらすじ・概要 シングルマザー(シンママ)である著者は、自閉症の子どもを育てている。療育のこと、家での生活のこと、家族関係のことなどを、コミックエッセイの形で語る。母親が無理をせず、障害児が自分らしく生きられる方法を模索する。 葛藤を抱えな…

【ろう者家族の中でひとりだけ耳が聞こえる少女が、親離れをする】『コーダ あいのうた』

あらすじ・概要 耳の聞こえない家族の中、ひとりだけ耳が聞こえる人間として生まれて来たルビー。彼女は音楽のレッスンで歌の才能を開花させ、音楽に関する学校に通いたいと思うようになる。しかし耳が聞こえない家族たちは、ルビーが家から離れようとするこ…

【普通ではない人間が搾取から逃れる結末】ディズニーアニメ『ノートルダムの鐘』

あらすじ・概要 醜い外見に生まれついたカジモドは、ノートルダムの鐘つき男として人と接せず暮らしていた。しかしジプシーの女性、エスメラルダと出会い、恋心を抱いたことから少しずつ変わっていく。同時に、カジモドの保護者であるフロロー判事は、エスメ…

美学の視点から見る視覚障害の人の世界のとらえ方―伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

あらすじ・概要 生物学の道を諦め、美学を志した著者は、障害を持つ人、特に視覚障害を持つ人の世界の認識に興味を抱く。「見える」ことが前提の社会で、「見えない」人たちはどのようにして周りの状況をとらえているのか。 「違いを面白がる」という可能性 …

「政治をやる障害者」が語る戦略的にマイノリティ向け制度を作る方法―伊藤芳浩『マイノリティ・マーケティング――少数者が社会を変える』

あらすじ・概要 聴覚障害者として、NPO「インフォメーションギャップバスター」で活動してきた著者。この団体は聴覚障害者向けの電話リレーサービスや東京オリンピック開閉会式におけるテレビ放送の手話通訳の導入を実現させてきた。300人に1人の聴覚障害者…

障害者の大量殺人事件から優生思想に警鐘を鳴らす―保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』

あらすじ・概要 障害者施設で19人が殺害された相模原障害者施設殺傷事件。その事件は多くの障害者とその家族、支援者らに衝撃を与えた。著者は障害のある人の意見を聞いたり、過去の優生思想が起こした事件を語ったりして、優生思想の罠に囚われないよう警鐘…

ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く―たちばなかおる『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』

あらすじ・概要 長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。

障害児向けのおもちゃ制作に携わった著者が誰もが使いやすい道具について語る―星川安之『アクセシブルデザインの発想 不便さから生まれる「便利製品」』

あらすじ・概要 障害のある子どものためのおもちゃを作っていた著者は、その流れでみんなが使える商品、アクセシブルデザインに携わることになる。少しの工夫で使える人が増える、アクセシブルデザインの中身とは……。 「できるだけ多くの人が使える道具」を…

「感動」「泣ける」の視点から障害者の表象を問う―好井裕明『「感動ポルノ」と向き合う 障害者像にひそむ差別と排除』

あらすじ・概要 巷にあふれる障害者をめぐる「感動」ストーリー。しかしそれは当事者の思いや多様性を反映しているとは言えないのではないか。様々な作品を取り上げつつ、フィクションやドキュメンタリーの中の障害者の表象を考えていくブックレット。 排除…

「頑張れない」「我慢ができない」子どもたちをどう助けるか―宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』

あらすじ・概要 少年院の子どもたちに児童精神科医として携わった著者は、そこで反省できない、努力できない子どもたちに出会う。どうやら彼らはそもそも認知能力や知的能力が低く、自分をコントロールすることが苦手らしい。少年たちを社会に戻すために何が…

障害者のある子どもたちの成長し発達する権利を守るにはどうすればいいか―茂木俊彦『障害児教育を考える』

あらすじ・概要 体のどこかが悪い、知的に遅れがある、発達に遅れがある……。さまざまな面から子どもたちを教育から遠ざける「障害」。障害のある子どもたちにも教育に参加してもらい、成長する権利を保障するためにはどうすればいいのか。障害者教育の現場の…

『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』感想と障害者を救いたい健常者について

あらすじ・概要 ダウン症のザックはプロレスラーの養成学校に入ることを夢見て、老人ホームを脱走する。その途中で、他人の獲物を盗んだのがバレて逃げていた漁師のタイラーと出会う。なりゆきでザックを養成学校に連れていくことになったタイラーは、ザック…

障害者の意思を尊重しつつ加害者にしない方法って何だろう―山本譲司『累犯障害者』

あらすじ・概要 刑務所で服役した元議員の著者は、そこで犯罪を犯した障害者たちの姿を見て衝撃を受ける。著者は累犯障害者について調べることを決意し、さまざまな累犯障害者について聞き取りを行う。殺人を犯した知的障害者、売春で生計を立てていた親子二…

手話ができない人間が難聴の人と話すコツまとめ 聴覚障害者と働くなら真後ろから話しかけるな

素材:Canva(https://www.canva.com/) 職場に聴覚障害の人がいるので、どうにかこうにか仕事上のコミュニケーションをうまく取るには……と悩んでいました。今回はその過程でうまくいったことをまとめました。 口話をうまく伝えるために 1.顔の見えない角…

小説家になろうで読むろう学校百合 石川博品『あたらしくうつくしいことば』感想

商業出版の本に夢中で最近あまりweb小説を読めてないのだけれど、これはすごくよかったので覚書もかねて感想を残しておきます。 画像はKindle版の表紙です。 ncode.syosetu.com あらすじ 紗雪の通うろう学校に転校生がやってくる。彼女は紗雪たちとは違った…

再生医療のこれからを考えさせられる一冊 ロバート・カーソン『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』感想

Twitterでおすすめされていたので読んでみました。図書館で取り寄せたのですが、思ったより分厚かったのでびっくりしました。 あらすじ 盲目の男性、マイク・メイは、手術によって視力を回復できるかもしれないと医者に告げられる。メイは悩んだ結果、手術を…

「発達障害はなぜ増えているのか?」ということから最新治療まで 杉山登志郎『発達障害のいま』感想

Amazonで本を見ていたとき、面白そうな発達障害の新書を見かけたので読んでみました。 書籍概要 近年増加しているという発達障害。適切なサポートや投薬を行えば、不便はあるものの日常生活が送れるようになることも多い。その治療法や、併存症との向き合い…

どす黒い茨にとらわれた眠り姫を救え 冲方丁『テスタメントシュピーゲル3 上』感想

Kindleでは一か月発売日が遅いことにあとで気づきました。 予約する前に紙で買っておけばよかったなあ。 あらすじ 情報汚染により、すべての交通機関がマヒしたミリオポリス。涼月たちは情報汚染の影響のない蒸気機関車に乗り込み、都市を走ります。鳳を目覚…

高機能自閉症の子どもたちのサポート方法 杉山登志郎『アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート』感想

『アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート』を読みました。 これはエイリアンの地球ライフ―おとなの高機能自閉症/アスペルガー症候群に乗っていた参考資料。 アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート―よりよいソーシャルスキルが身につ…

彼はなぜ金閣寺を燃やしたのか 三島由紀夫『金閣寺』感想

『金閣寺』を読みました。 思えば三島由紀夫は読んだことがなかったなあと思って有名な作品をチョイス。新潮文庫の100冊 2016に入っていたのもあります。 金閣寺 (新潮文庫) 作者: 三島由紀夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/05 メディア: 文庫 購入:…