ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

『カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら』岡田尊司 角川新書

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

カサンドラ症候群 身近な人がアスペルガーだったら (角川新書)

 

あらすじ・概要

発達障害のある人の伴侶がうつや不安障害になってしまうカサンドラ症候群。しかし、家族の声に耳を傾けてみると、発達障害以外の問題を抱えていることは少なくない。親との関係、職場とのストレス、そして、定型発達のはずの伴侶の事情など、多面的にカサンドラ症候群をとらえようとする本。

 

問題のすべてを発達障害に帰結する危うさ

カサンドラ症候群と言いつつ、カサンドラ症候群というより夫婦の関係に医療がどうアプローチするか悩む本という感じでした。その分、カサンドラについて知りたい人には肩透かしかもしれません。

ただ、発達障害当事者側の人間としては、家庭の問題を全て発達障害に帰結しようとする論には辟易していたので、こういう本があってよかったと思います。

ラベリングには良し悪しがあるもので、発達障害が原因だと思い込むと、家族が抱えている他のトラブルに気づかないことがあります。

 

もちろん、家族が発達障害で苦労している人は多いでしょうが、愚痴や悪口を言うとき、自分に都合の悪いことを伏せてしまうものです。

適度に耳を傾けて肯定してあげるのはいいと思うんですが、安易に別れろとか、関係を終わらせろと言うものではないと思います。

 

ただ、「離婚を経験すると寿命が縮まる」というところは医者の意見だなあと思います。「寿命が縮んでも離婚したい」という人は少なくないでしょうね。

私は面白かったですが、価値観によってはムッとする人も多いかもしれません。