ブックワームのひとりごと

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『世界の終わりのオタクたち』羽流木はない ビームコミックス 感想

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世界の終わりのオタクたち (ビームコミックス)

 

あらすじ・概要

年下のオタクに執着しているオタクや、同人誌を薪にできないオタク。終末世界に暮らしているオタクは、作品について何を思うのか。ハードな状況の中で、なお創作を、コンテンツを愛するオタクたちの連作短編。

 

浅ましくも魅力的なオタクたちの連作短編

Twitterで流れてきた漫画、書籍化していたのかと気づいて読んでみました。書籍化してもちゃんと面白かったです。

 

印象的だったのは、女体化二次創作を好む女性の回です。好きなキャラクターが女体化するところを夢想しながら、「どうして原作で男性のキャラクターを女体化してしまうのか?」と疑問に思います。

周囲が彼女のことを否定するわけではなく、彼女自身がぐるぐる悩んで考えているところが斬新でしたね。

 

彼女らの行動は、美しくはなく、浅ましいです。

しかし、この世界で、困難を抱えて生きていく上で、「何かにのめり込むこと」が人を救うことがあります。終末というのはひとつの比喩で、私たちオタクは常にこのろくでもない世界でフィクションを支えに生きているのかもしれない。そしてその状況は『世界の終わりのオタクたち』に出てくるオタクと変わらないのかもしれないと思いました。

 

Twitterで発表されたからこそ共感を呼んだのでしょう。これが商業前提に描かれていたら、違った物語になってしまった気がします。こういう作品こそインターネットから書籍化してほしいと思います。