ブックワームのひとりごと

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『寺よ、変われ』高橋卓志 岩波新書 感想

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寺よ、変われ (岩波新書)

 

あらすじ・概要

「葬式仏教」と言われ、儀礼的な葬式や法事の運営に終始している日本仏教。著者はそんな仏教に不満を感じ、寺に人を呼んだり、ボランティア活動に参加したりして新しい仏教の形を模索する。仏教を支えていたイエ制度が崩壊する中で、今の仏教が人々にできることとは。

 

儀礼的な寺から開かれた寺へ

宗教関連の本を内部の人が出すとむやみやたらに褒めがちで、これは批判が面白そうだったので読んでみました。実際、興味深い内容でした。

 

「仏の心」といいつつ、僧侶自身が仏の道を体現できているのか? というのは現代仏教の大きな問題です。寺が世襲で運営され、檀家制度で権力に都合のいいシステムになってしまった寺は、本来の役割から解離しつつあります。

これからの仏教は何をすべきか、という問題で、著者は寺に人を集めることや、慈善活動をするNGOに関わる重要性を説きます。

 

著者は、寺が地域に積極的に関わり、また、運営について情報公開をすることで、開かれた仏教を目指していきます。

「宗教だから」閉鎖的でもいいという甘えを排除して、よその人から見られても恥ずかしくない運営をすることは大事です。

 

寺には詳しくないのでこの話がどのくらい信憑性があるのかはわかりません。ところどころ「他の人より上手く行っている自分」アピールも感じます。

それでもこういう批判的な本が内部の人から出される方が健全ではあると思います。