ブックワームのひとりごと

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『クララ白書』氷室冴子 集英社コバルト文庫 全2巻 感想

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クララ白書I (集英社コバルト文庫)

 

あらすじ・概要

中高一貫の女子高に通うしーのは、中等部の途中から寄宿舎であるクララ舎に入ることとなる。しかし、クララ舎に途中入寮するイニシエーションとしてドーナツを揚げさせられて……。女の園で暮らす女の子たちのトラブル、日常、友情を描いた連作短編。

 

面倒な感情が描かれつつもドロドロしすぎない

女性同士の面倒な感情が描かれつつも、話はあっさりしているところが読みやすかったです。

特に主人公三人組が、ときにけんかしたり反目したりしながらも仲良しなのに癒されました。けんかのシーンはそりゃあけんかするだろうな……という展開なのですが、誰かが騙されているのではないかとなったら駆けつけるなど、愛の強さにぐっと来ます。

関係性自体は地に足のついたものが多く、共感したり笑ったりできました。

 

女性同士の疑似恋愛、女性が男装することは、女子校を舞台にしたフィクションにおいてはあるあるなんですね。登場人物はヘテロセクシャルであることを強調されているため、LGBTQとしての描写ではありません。

「女の園」を舞台とした作品のテーマは今も昔も変わらないのだなあと思いました。

 

『クララ白書』としては2巻のみのシリーズですが、続編の、高等部編を描いた『アグネス白書』もあるようです。こちらも機会があったら読んでみたいです。