あらすじ・概要
東日本大震災下の日本。ラジオ福島は、危機的状況でラジオ配信を続けることとなる。災害状況や被災者に役立つ情報を発信しながら、CMが流せないという経営の瀬戸際にも立たされる。災害時のラジオの役割、そして情報インフラを維持する人々の戦いを描く。
災害発信と存続の危機の間で戦う人々に勇気づけられる
ローカルラジオ局であるラジオ福島は、不眠不休で災害について情報発信することになります。
どこにどんな支援物資があるか、開いている店はどこか、視聴者からの情報をひたすら流し続けます。CMはないので広告料を得られず存続の危機にも立たされます。
同時に、CMなしでもいつもと同額の広告料を支払ってくれたスポンサーや、当時配信サービスとして人気だったUstreamとの連携成功、福島の人たちの応援など、明るく優しい話題もありました。
スタッフの食料を確保するために奔走する姿がつらかったです。
ラジオ局スタッフも被災者であり、今日も明日もしれない状況です。そんな中で、ラジオ配信を続ける苦しみを感じました。
災害の危機的状況が去り、日常が戻ってきたときのラジオの扱いも考えさせられました。ラジオ福島を「聞いていた」と過去形で語る人が増えてきます。平時の放送をしているラジオ福島の番組を聞いていないということがわかります。
ラジオは災害のときはもてはやされますが、平時のときはなかなか存続が難しいメディアです。今後起こりうる災害のために残しておいた方がよいのですが、営利団体ゆえに利益が出ないとやっていけません。災害対応が一段落しても、ラジオ福島の「これから」は大変です。
最終章の福島の人たちの切実な言葉が胸に刺さりました。災害は終わりません。