ブックワームのひとりごと

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姫君を乗せて大空をかける飛行機の美しさ 阿部藍樹『白翼のポラリス』感想

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白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

Twitterでおすすめされていたので買ってみました。女の子より飛行機のほうがでかい表紙、かっこいいですね。

 

あらすじ

ほとんどの陸地が海に沈んだ世界。船国から船国へ荷物を運ぶスワローの少年、シエルは少女から「自分を運んでほしい」と依頼を受ける。彼女は一国の姫君であり、平和の使者になろうとしていた。

 

美しい文章で描き出す心と空

この作品、とにかく文章がうまかったです。

広い大空をかける飛行機、ポラリスの姿が目に浮かぶようでした。テーマとしては特別変わったものではないのに、丁寧な描写力のおかげで個性のある作品として成り立っています。

登場人物の心の動きも素晴らしく、なぜそういう行動に至ったのかがはっきりわかります。特に姫君ステラとシエルが少しずつ心を通わせていく過程はきゅんきゅんしました。青春だなあ。

登場人物を自然な形で好きになることができ、最後の方はちょっとうるうる来てました。悲しい話でも人がたくさん死ぬ話でもないのに。

出会い交流することで変わっていく主人公が、読んでいるうちに大好きになりました。

 

無難に終わってしまったことが不満

すごく面白い本だとは思いますが、それだけにちょっと無難に終わってしまったことが不満だな……と思いました。

続編を射程に入れるなら当然の結末なのかもしれませんが、身分的にそれはいいのかって話ですし、唐突な感じもします。

黒幕の正体も、わりといきなりだった気が。

その辺は、私がきれいに終わる話が好きだからというのがあるんですが。一巻完結のものが好きですからね~。

そこの不満を除けばとてもよかったです。イラストもすごく雰囲気に合ってて素敵でした。飛行機オンリーの挿絵が結構あるところで「あっイラストも本気だな……」と感じました。

総合的に見てクオリティの高い、素敵なお話でした。

 

まとめ

面白かったです。他の作品も機会があれば読んでみたいですね。

シエルと一緒に旅をしている気分になれました。でもジェットコースターみたいな空戦は体験したくないなあ……。

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

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