ブックワームのひとりごと

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ピアノと自転車をめぐる連作短編 佐藤多佳子『サマータイム』再読感想

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サマータイム』を読みました。

てっきり読んでないと思って購入したら、実は大学時代に読んでいたことを思い出しました。くやしいですが、もったいない精神が発揮されたので全部読みました。

サマータイム (新潮文庫)

サマータイム (新潮文庫)

 

 あらすじ

事故で左腕と父親を亡くした少年、広一。進と佳奈のきょうだいは彼に出会ったことによって、幼い心に変化が訪れます。ピアノと自転車を中心に、三人の心が揺れる連作短編です。

心が揺れ動いたっていい

読んだのがだいぶ昔なので、いい感じに内容を忘れててよかったです。

良かったところは主人公三人の考え方が変化するところです。たとえば広一はピアノが大好きだったんですが、話の途中でピアノを弾かなくなってしまうんです。それがネガティブなことかというとそうではなく、自然な心境の変化として書かれているところがよかったです。

変わっていくところと変わらないところの対比が美しく、少年少女の成長というテーマに適した書き方だなと感じました。

個人的に好きなのはやっぱり広一ですかね。マザコン気味なのに物分かりがよくて、あきらめがちで、それでも子供っぽいわがままをひそかに持っている感じがよかったです。子供の心は複雑なんですよね……。佳奈にももう少し幸せになってほしいと思ってます。

まとめ

再読だったけれどなかなか楽しめました。やっぱりこの方の文章の書き方はとても好きですね。

また他の本も読んでみたいです。

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

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黄色い目の魚 (新潮文庫)

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同作者の音楽をテーマにした連作短編です。

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