ブックワームのひとりごと

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時間をめぐる恋愛短編アンソロジー 大森望編『不思議の扉 時をかける恋』感想

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『不思議の扉 時をかける恋』を読みました。

時間SF大好きなので入手した一冊です。

不思議の扉  時をかける恋 (角川文庫)

不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫)

 

 各話感想

『美亜へ贈る真珠』梶尾真治

時間が遅く進むタイムカプセルに人間を入れる計画の乗組員と、彼に恋した女性の話。

最後のオチが好きです。航時機という設定もSF感があってわくわくしますね。

『エアハート嬢の到着』恩田陸

苦労症の青年が突然見知らぬ少女に話しかけられ、半信半疑ながらも彼女と会話していきます。

哀しい結末ですが、彼女なりに臨んだことをしたんだろうなと思うと責められませんね。いつか幸せになってほしいです。

『Calling You』乙一

頭の中に携帯電話を作り出してしまった少年少女は、直接会おうと計画を立てますが……。

これは再読です。読み返してみると展開が面白いだけではなく、不安で未熟だった若いころを思い出してしんみりします。オチもぐっとひねりがきいていて好きです。

『眠り姫』貴子潤一郎

謎の眠り病にかかってしまった高校生。彼女に恋した主人公はなんとか彼女を支えようとします。

他の作品に比べると直球ですが、アンソロジーの中にこういう話があってもいいと思います。一番ラブストーリーらしい気がします。

『浦島さん』太宰治

太宰治が書く「浦島太郎」の翻案小説。

これも再読。亀がひねくれてて笑いました。太宰治って結構ギャグセンスがあるんですよね。頭のいい人の書くギャグって語彙力とばかばかしさが混ざり合って破壊力があります。

太宰治の中では暗くないので読みやすいです。

『机の中のラブレター』ジャック・フィニィ

中古の机の中に入っていたのは元の持ち主のラブレターでした。主人公はそれに返事を書いて投函します。

机の中に入っていた手紙というのがロマンティックでいいですね。少女漫画のようです。がらにもなくどきどきしてしまいました。

まとめ

雰囲気の違う時間SF・ファンタジーが収められていて面白かったです。編者の引き出しの多さを感じました。

このアンソロジーシリーズの他の本も読んでみたいです。

不思議の扉  午後の教室 (角川文庫)

不思議の扉 午後の教室 (角川文庫)