『イミテーション・ゲーム』が好きだったので、一度チューリングの伝記を読んでみたかったのです。
書籍概要
ドイツ軍の暗号機、エニグマを解いたアラン・チューリング。彼はコンピューターの原型を作り、後世に多大な影響を与えた。暗号機の仕組みや、最初期のコンピューターのなりたちとともにチューリングの人生を伝記にした本。
難しかった!
「一般向けに書かれたチューリング研究」と書いてあったので手に取ってみたはいいものの、実際はかなり難しかったです。
淡々と述べられるコンピューターの仕組みは理解するのが困難です。何より訳があまりよくない。この手の本は文章の専門家が訳していないことも多いので、仕方ない部分もありますが。
そしてそれなりにチューリングに対する予備知識を必要としてきます。「〇〇という説があるがこれは誤りで~」という言い方がよく出てきますが、それ以前に〇〇っていう説を知らないのでさっぱりわかりません。
他の本でチューリングのことを調べていないと、読むのはきついと思います。ファーストチョイスには向かない本でした。
コンピューターの黎明時代の人工知能
かなり難しかったけれど、話の内容は面白かったです。
興味深かったのは、チューリングの時代にすでに人工知能研究をしていたこと。「機械が思考すること」とはどういうことか考えていくことは、「人間が思考すること」とは何かという哲学的問いにつながっていくという考えは今も通じるものです。
コンピューターの技術はどんどん進歩しています。チューリングの未来予想は当たったものも当たらなかったものもありますが、コンピューターを通して人間のあり方を考えるというのは今も変わらない情報分野のテーマだと思います。
プログラミングで仮想の生物を作り出し、研究に役立てることもチューリングが初めてやったそうで、びっくりしました。
『イミテーション・ゲーム 天才科学者とエニグマの秘密』との比較
この本を読んだきっかけが映画『イミテーション・ゲーム』なので、それについても比較をしておきます。
意外だったのはジョーンが実在したこと。てっきり映画オリジナルの存在だと思っていました。そして婚約していたことも事実。
映画と違う点は、チューリングには結構友達がいることでしょうか。確かに変わり者でトラブルも多かったみたいですが、友達を作るくらいの社会性はあったようです。
戦争が終わっても重要なポストについており、それほど悲壮感はなかったようです。それだけに自殺をしたのが謎です。何がきっかけだったのかは今も闇の中です。
こうしてみると、映画はかなり脚色が多いですね。よくある話ですが。
まとめ
かなり難しかったですが、知らないことばかりで知的好奇心が満たされました。
でも最初にこれを読まないほうが良かったかもしれません。コンピューターのことはあまり理解できませんでした。
次にチューリングについて読むときは簡単なものを探します。
チューリングの計算理論入門 チューリング・マシンからコンピュータへ (ブルーバックス)
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