沢木耕太郎の『銀の街から』に載っていた作品です。原作は未読です。
あらすじ
刑務所のとある房に新しい囚人が入ってくる。そこでは「人生で一番うまいものの話をして、一番つばを飲み込ませた人が、正月のおせちのおかずを一つずつもらえる」というゲームが行われていた。
房の中で行われる飯テロ合戦
原作とは、設定を借りているだけで別物だそうです。
卵かけごはん、オムライス、インスタントラーメンなど、自分でも気軽に食べれる食品が出てくるところがにくいです。明日食べたくなってくる……。
食べるときのシチュエーションも含めて、「おいしそう」と思ってしまうので、この作品は語りの形式なのでしょう。
何も楽しみがない刑務所で、想像だけで楽しんでいる姿が面白く、また同情を誘いました。
登場するキャラクターはみんなクズなんですが、それでも映画を見ている間は見守りたくなってきます。
受け入れてくれる女性を望んでしまう愚かさ
登場人物は、自分を無条件で受け入れてくれるような聖母的な女性を望んでいます。
そんな都合のいい女いないだろう、思います。けれど、「自分を無条件で受け入れてほしい」という願望は、そもそも男女を問わないものです。馬鹿だなあと思いながらも、すべて笑い飛ばすことはできませんでした。
この作品の肝は「語り」だということで、話の内容がどこまで本当かわかりません。登場する女性はいるのかもしれないしいないのかもしれません。しかし、たとえ嘘だったとしても、彼らが「食と女性」について語る瞬間、そのあこがれは本物だったんだろうなと思います。
どうしようもなく愚かですが、その愚かさも含めていとおしくなってきました。
まとめ
無償の愛を求める人間の愚かさを感じる作品でした。でもそういうものがほしくなってしまう心理もわかるから、笑うだけでは終わらないんですよね……。
飯テロにとどまらない面白さがありました。

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