どこかで見た名前だと思ったら『ロシア異界幻想』を書いた方でした。あれも面白かったです。
書籍概要
死者が墓から起き上がり、血を吸うというスラヴ圏の吸血鬼。その伝承に関わる人狼、夢魔、死神などの魔物の考察や、フィクションにおける吸血鬼の扱いについて解説する。
吸血鬼と他の魔物との関連性について語る
吸血鬼と他の魔物についての関連性について語られているところがよかったです。
特にスラヴ圏の夢魔モーラはは人間が夢魔になると知ってびっくりしました。今の夢魔のイメージとは結構違いますね。
モーラだと思われて殺されることもあって、昔のこととはいえ切実な問題だったのだなと改めて思いました。
人狼の章では人狼の君主が登場してかっこよかったです。この話、すごく中二病っぽくてときめいてしまいました。血を好みめちゃくちゃ強い人狼の王侯ってすごいな……。
あと、ドイツの民話である「黒いお姫さま」に似た話もありました。このストーリーはいろんなところに伝播しているんですね。
この話めちゃくちゃ怖いですよね……。
吸血鬼に関する記述は少な目
吸血鬼との類似性がある魔物を解説した分、吸血鬼そのものについて語るページは少なかったので、吸血鬼の情報を求めている人には物足りないかもしれません。
『スラヴ吸血鬼伝説考』というタイトルからイメージされる内容とは違うので、若干このタイトルはまずかったと思います。なかなかぴったりのタイトルを考えるのは難しくはありますけれど。
それでも情報はみな魅力的で、出典も丁寧に載っているので学術的にはとても面白い本です。
内容的にはそんなに難しくない本だと思うので、よくある初心者解説本以上のことを知りたいと思った人にはいいのではないでしょうか。
まとめ
タイトルからイメージしたものとは違いましたが、知らないことばかりで楽しめました。
吸血鬼を調べるうえで参考になりました。