親からの借り物。結構エッセイ本はシェアしてます。
あらすじ
俳優業、音楽業、文筆業など、マルチに仕事をしている星野源。しかし、その日常は案外情けないものだった。携帯電話料金を払い忘れたり、全裸で風呂掃除をしたり……ささやかに、でも独特に続いていく俳優の生活を描いたエッセイ。
ひとりであることの素晴らしさ
このエッセイのいいところは、ひとりでいることに劣等感を感じさせないところです。
著者はひとり暮らしで、ひとり暮らしのおかしな話をいろいろ書いているのですが、「ひとりである」という気負いがなくてそこが面白いです。
そしてそういう孤独な時間が、何かを作るときのインスピレーションの元になっているのが興味深いですね。
この「ひとりを楽しむ」姿勢は、オタク気質の人には共感しやすいものなのではないかと思います。実際私もすごく共感したし。
「有名人のエッセイ」という固定観念を抜きにして、ちょっと変わった人が生活して、笑い話をして、ときどき哲学する日常エッセイとして読んでほしいです。
何かを生み出すための「ネガティブさ」
もうひとつ面白かったのは、著者はかなりのネガティブなんだけれど、そのネガティブさを肯定的にとらえているところです。
象徴的なのは以下の文章です。
たとえば私がいま何をしても気持ちよく、健康で、お金もあって、不自由なことなど何一つない暮らしをしているのなら、表現なんてしなくても全然いい。
生きづらさを緩和するために表現をするのだし、マイナスがあるからプラスが生まれる。
(P149~P150)
何かを作っているから生きづらい自分を肯定できるし、生きづらい自分を肯定できるから何かを作る。卵が先かにわとりが先かのような関係ですが、その部分で人としてバランスを取っているのだと思いました。
私も何かを作る人だから、この言葉に深くうなずきました。
まとめ
面白おかしいお兄さんの日常エッセイですが、ときどき深い洞察があって、はっとさせられます。
「ネガティブでいいんだ」と少し気楽になる本でした。