ブックワームのひとりごと

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古書修繕店の裏家業は幽霊に関するお悩み相談 椎名蓮月『遠鳴堂あやかし事件帖 其の壱』感想

遠鳴堂あやかし事件帖 其の壱 (富士見L文庫)

『あやかし双子~』の続刊を入手するのにちょっと時間がかかりそうだったので、こっちを先に読んでみました。

 

あらすじ

古書の修繕をしている遠鳴堂(とおめいどう)。しかしその店は裏の仕事もあった。遠鳴堂で暮らしている叔父に預けられた少年、明(あきら)は、雑霊が見える。ある日クラスメイトに雑霊が憑りついているのを見て気になり……。

 

優しいけれど甘やかさない

基本的に優しい話ではありますが、自分と相手の線引きがきっちりなされています。優しいけれど甘やかさない塩梅が心地いい話でした。

保護者的なポジションの叔父倫太郎が、さらっとドライなことを言うので、心理的な面で展開が読めないところがあります。

しかしそこが、ただの人情ものにとどまらず、この作品に緊張感をもたらしていて好きです。

倫太郎の式神、多聞も、基本優しい対応をしていてもときどきひやっとする反応を返すことがあって、そこがどきどきします。

「優しい」という印象は、この作品の一面を見ているに過ぎないのだと感じました。

 

脇役たちがかわいい

それから、脇役たちも生き生きしててよかったです。

望月はお嬢様なんだけれど、普通の女の子っぽい一面もあってかわいかったです。自然と応援したくなるキャラですね。

ちらっと出てきただけの明の母親も、一瞬だけで面白い人なんだな……ということがわかって楽しかったです。

そういうちょい役のキャラたちにも、「生きている」という印象が持てるのはいいですね。

しかしひとつだけ気になったのは、この作品「あやかし」がメインではないじゃん? ということです。一時期あやかしものが流行っていたので、その影響なのでしょうか。それとも今後関係してくるのか……?

 

まとめ

優しいけれどべたべたしない、いい塩梅の作品で面白かったです。

人情ものだけど、情に訴えるだけではない理性がありました。

遠鳴堂あやかし事件帖 其の壱 (富士見L文庫)

遠鳴堂あやかし事件帖 其の壱 (富士見L文庫)