ブックワームのひとりごと

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ポーランドの田舎町に赴任した役人が吸血鬼騒ぎに遭遇 佐藤亜紀『吸血鬼』感想

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吸血鬼

 

あらすじ

十九世紀のポーランド。とある田舎町に赴任した新人役人のヘルマン・ゲスラーは、そこで次々と起こる怪死事件に遭遇する。人々はその怪異を払うために、呪わしい因習を行うのだった。

 

うまく話に入れなかった本だった

ポーランドの田舎町における吸血鬼伝説」という設定やストーリーは好みなんですが、どうにも話にうまく入っていけない本でした。

かぎかっこを使わずダーシで会話を示すのが読みにくかったし、現在形を多用する文体もしっくりこなかったです。

ただ、この文体が好きになれれば面白くなった気がするので、自分に対しても本に対しても惜しい気持ちになりました。

こういう惜しい感じのもどかしい本は、どうにもうまく感想が書けなくなってしまいますね。

悩みながらこの文章を書いています。

 

はすに構えた作品だった

悩んでいても仕方ないので、自分なりに面白かった部分を述べておきます。

「誰が吸血鬼なのか」という問いに対する答えに「うわあ」となりました。それはそうなんだけど、口に出してしまうとどうしようもないことでもあります。悪趣味でもあり、無為も感じました。

主人公のゲスラーは役人なのでエリートかと思いきや、彼は彼なりにどこにも行けない鬱屈を抱えています。なまじ知識があり、現実が見えてしまうがゆえに、しんどいことが多いようでした。

ある種少し視点が変わっている作品でした。悪く言ってしまうとはすに構えているんですが、こういう作品があってこそ表現だなあと思います。

 

まとめ

好きだけど好きになれない、もどかしい感じの作品でした。でも好きな人は好きな本だと思います。

ポーランドに興味がある人はどうぞ。