ブックワームのひとりごと

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孤独を選んだ少年が人を頼ることを知る―遍柳一『平浦ファミリズム』

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

今日の更新は、遍柳一『平浦ファミリズム』です。

青春ライトノベルのおすすめ記事にに複数回あげられているのを見かけたので興味を持った本。

表紙が家族写真のようなのが珍しいです。

 

あらすじ・書籍概要

ベンチャー企業の社長だった母を亡くした平浦一家。その第二子である一慶は、トランスジェンダーの姉、引きこもりの妹、フリーターの父と一風変わった、それでいて平穏な暮らしをしていた。しかしある事件をきっかけに、一慶の周囲は変わっていく。

 

骨太のテーマ性を持つ青春小説

最初は天才なのに内にこもりがちで、他人を拒む主人公一慶にイライラさせられました。

しかし展開が進むにつれて、他人を信用できない彼の不器用さ、そうならざるをえなかった周りの環境がわかってきます。

裕福な家庭に生まれたことによる周囲の僻み、トランスジェンダーの姉や引きこもりの妹への偏見。異質なものを排除しようとする社会的圧力によって、彼は家族以外から心を閉ざしてしまったのです。

そんな彼は、身の回りに起こる小さな事件から他人とかかわることになります。

いままでの展開を踏まえた上で、ラストの怒涛の展開が熱かったです。ひとりではどうしようもない事件に遭遇し、彼は人を頼らざるをえなくなります。そんなとき、役に立ったのが今までしぶしぶながら作ってきた「関係性」だったのです。

孤独な少年が誰かを必要とすることを知り、他人とかかわることでしかできないことを知ります。

 

徹底して作者の伝えたいこと、やりたいことがはっきりしていて、読んでいて気持ちよかったです。

ここまで骨太のテーマを据えて書き切る作者は珍しいから、とても楽しめました。

 

半面物足りない面もありました。たとえば三きょうだいのトラウマが説明的なモノローグに終始していて、もっときちんと描写して生かすこともできたんじゃないかなと思います。

ただデビュー作であることを考えれば許容範囲ですね。これからに着たいです。

 

まとめ

今後が楽しみなデビュー作でした。機会があればほかの本も読んでみたいです。

今どき珍しい骨太な青春ものでした。

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

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