ブックワームのひとりごと

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発達障害自身が語る「まとめあげる」ことの難しさ―綾屋紗月・熊谷晋一郎『発達障害当事者研究 ゆっくりていねいにつながりたい』

発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

今日の更新は、綾屋紗月・熊谷晋一郎『発達障害当事者研究 ゆっくりていねいにつながりたい』です。

 

あらすじ・書籍概要

発達障害者の特性は、どこから来るのか。発達障害の著者は自分自身を深堀りし、自分自身の精神世界から発達障害を説明していく。とある発達障害者の目から見た世界を書いた当事者研究本。

 

まとめあげの苦手さがさまざまな特性につながっている

結構厚い本で抽象的だけれど、それをあまり気にせずさくさく読めました。著者の文章は淡々としていて読みやすかったです。

 

発達障害について、ぼんやりと感じていたことをどんどん著者が言葉にしてくれるので、 読んでいて気持ちがよかったです。

著者は、頭に浮かぶ思考や、外界から受ける感覚を「まとめあげるのが遅い」という自己評価をしています。まとめあげるのが遅いので、お腹がすいたことに気づくのも遅いし、たくさんの音やにおいの中から重要度の高いものをピックアップすることができない。発達障害のさまざまな特性を「まとめあげの苦手さ」で語るのはわかりやすかったです。

 

特に第四章で述べられている「キャラの侵入」という概念は私にもあてはまるところがあって読んでいて参考になりました。

私は他人の悪意に弱いのだけれどHSPにおいて説明されている「共感」とはどこか違うと感じました。著者ほど顕著ではないにしろ、自分の心の中に「相手のキャラ」が侵入してくるように感じるというのはわかる気がします。

他人の感情に影響されやすいことを「共感」ではなく「異物が入ってくる」と説明すると自分自身にとってもわかりやすいなと気づきました。

これもまた、自分の心の「まとめあげ」、他者から得られる感情の「まとめあげ」が苦手だからこそ起こることなんですよね。

 

抽象的な話なので発達障害初心者にはおすすめしませんが、「自分の特性をどのように説明すればいいのか」と悩んでいる人には参考になると思います。

 

まとめ

さくさく読めて情報量が多く、読んでいて楽しかったです。

発達障害の人が自分自身を知るきっかけになる本なのではないでしょうか。

発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい (シリーズ ケアをひらく)

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つながりの作法 同じでもなく 違うでもなく (生活人新書)

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