今日の更新は、持田明広『クリスチャン弁護士のちょっと気になる事件簿』です。
あらすじ・概要
家族の悩み多き時代、著者のもとにはこじれた家族問題がいくつも舞い込んでくる。著者は仕事としてそれを解決しようとするのだが……。クリスチャンの視点から見た相続、離婚、結婚の事件を語る。
人権のない時代に作られたものを人権のある時代に使う
聖書は、人権のない時代に作られたものだから、現代の価値観とはそぐわないところがあります。そこを法律家がどう認識しているか気になっていたので、興味深かったです。
女性の地位向上という点では、聖書ほど大きな貢献をした書物はない。その男女平等の精神は、最初の女性(エバ)の創造記事からもうかがえる。(中略)神は女を、男の「足」からでも「頭」からでもなく、心臓に近い「あばら骨」から造られた。
(P62)
信心のない人間としては「無理があるんじゃない?」と思うところも多いんですが、多分クリスチャンの人も聖書と現代の価値観との間で葛藤があるんでしょうね。前時代的な主張をする人も多いことを思うと葛藤があるだけましかもしれない。
内容としては普通の弁護士の事件録なんだけれども、必ずクリスチャン的な締めの言葉が入っているので、昔の説話集みたいです。
思えばあれも、事件と宗教的要素をドッキングさせたシリーズだったのかもしれません。
『クリスチャン弁護士のちょっと気になる事件簿』まとめ
話がすっごく面白い……とはちょっと違うんですが、私はこういう文化的ギャップを知るのが好きなので結構楽しめました。
著者個人の考え方なので普遍性があるわけではないんですが、クリスチャンの価値観に触れてみたい人にはおすすめです。