今日の更新は、『西の善き魔女6 金の糸紡げば』です
あらすじ・概要
セラフィールドのフィリエルは、天文台の父親ディー博士と、ホーリー夫婦と暮らしていた。そこに、ホーリーの旦那さんが身寄りのない子どもを連れてくる。彼はルンペルシュルツキン(ルーン)と名付けられ、天文台に預けられることとなった。最初はルーンを歓迎していたフィリエルだったが、徐々にディー博士に大事にされるルーンに嫉妬してしまい……。
子どもの揺れ動く心と大人たちの優しさ
『西の善き魔女』シリーズの主人公カップルである、ルーンとフィリエルの小さいころの物語です。
旅芸人の一座に虐待され、満足な教育も受けられずに育ったルーンは語彙が少なく、口数も少ないです。そんな彼を、おしゃべりしながら面倒を見ているフィリエルがかわいかったです。
しかしルーンが徐々に数学の知識を得て、ディー博士に気に入られるようになってからフィリエルは葛藤を始めます。ディー博士は自分よりルーンを愛しているのではないかと。
親の愛を求めて不安になってしまう揺れ動く子どもの気持ちが、痛々しかったです。私はもう大人だから「愚かだなあ」と思うことができるけれど、子どもの視点だと切実なんですよね。
大人になった今読み返すと、『金の糸紡げば』は大人キャラクターの物語でもあるのだなと感じます。
それぞれ思惑や大人の事情を抱えながら、ルーンとフィリエルを守り育てようと努めています。特に本編の展開を知っていると、ホーリーの旦那さんの行動が泣けてきます。無口で穏やかで、でも根は頑固な旦那さんの描写を読むたびに、あの悲劇的結末のことについて考えてしまいます。
大人たちの優しさが染みる巻でした。
『西の善き魔女6 金の糸紡げば』まとめ
優しい物語だけれど、どこか切なくて懐かしい巻でした。
子ども時代を懐かしみ、大人としての役割について考えを改めたくなりました。