今日の更新は、水町勇一郎『労働法入門』です。
あらすじ・概要
労働者とそれを雇う側の力関係は均衡してはいない。労働者の権利を守り、双方の関係を公平にするのが労働法の役割である。日本における「労働」への価値観を踏まえつつ、労働法の内容と今後の課題を語る本。
見出し
「よくまとまっている」と法律関連の仕事をしている身内が貸してくれたもの……なんですが普通に難しいわ! 入門って書いてあるけれど知識がないと読めないタイプの本です。
著者のせいというより私が法律に詳しくないのが悪いので、出直した方がいいかもしれません。
おそらく法律の基礎的な知識を持っている人にとっては「入門」足り得るのではないでしょうか。
(あと後から貸してくれたのが旧版だと気づきました。働き方改革の項目もあるらしいのでこれから買う人は新版を買った方がいいと思います。)
とはいえわからないなりにも、興味深い場所はありました。この本は日本の労働に対する価値観や、その歴史的変化を踏まえつつ、法律がなぜ存在するか、これからの課題は何か語っていきます。
別様なものを別様なものとして認めない日本の閉鎖的な共同体的社会が維持されることに問題はないか。思想・信条が異なる者は人間的な信頼関係を築けないというステレオタイプな見方自体に、考え直すべき点はないのか。
(P66~67)
日本企業の多くは、その歴史的経緯からも、また社会的実体としても、正社員の長期雇用慣行を中心とする企業共同体としての性格を相対的に強くもってきた。
(中略)
日本企業では、旧来、労働者個人の人権や、それを通じた組織の透明性や開放性という視点は、それほど意識されてこなかった。
(P106~107)
という感じで、労働法という視点に立ちつつも、見ているのは現代の日本における閉鎖性や、悪い意味での従順さです。
抗うべきときに抗うことを、学ばなければならないなと思いました。私自身も何でも流されがちだから心に染みます。
『労働法入門 新版』はこんな人におすすめ
法律に興味がある人だけではなく、現代社会の生きづらさや、ぼんやりと世の中を漂う圧力について気になっている人におすすめです。
あとは価値観の違う人間とどう生きるか、についてもヒントになるかもしれません。やはり法律は多様な人間がどうにか一緒に付き合うためにあるのだと感じました。