今日の更新は、桜沢鈴『義母と娘のブルース』です。
あらすじ・概要
母を失った小学生のみゆきのもとに、父親の再婚相手、亜希子がやってくる。仕事一筋だった亜希子は、世間一般の母親とはどこかずれていた。最初は反発していたみゆきだったが、少しずつ亜希子を受け入れ始める。しかし、父と亜希子の結婚にはある秘密が……。
死や悲しみを含めた「日常」をギャグ四コマで描く
日常四コマ漫画でありながら、キャラクターが成長し、年を取り、看取りのシーンまであるという珍しい作品です。
細かいところにツッコミどころはありますが、家族を持って楽しいこと、つらいことがユーモアを持って語られており、一貫した家族観がありました。
噂好きのおばさんや、意地悪な姑など、「敵」になりがちなキャラクターも、方向を変えればいつの間にか味方になっている、その転換が心地よかったです。
また、四コマギャグでは難しいお葬式のシーンや、看取りのシーンをこんなに軽やかに、しかし不謹慎っぽくなく描いていて感動しました。こういう表現の仕方があるんですね。悲しみを描きつつ面白さを担保するという離れ業をやっています。すごい。
全体として作者の「家族が書きたい」「人生が書きたい」というテーマがしっかり伝わってきていて、読んでいて安心感がありました。やっぱり「何が書きたいか」がわかりやすい作品はいい。
派手な作品ではありませんが、テーマを追求した誠実な作品です。