ブックワームのひとりごと

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哀しいけれどバッドエンドではないさわやかな結末―来楽零『哀しみキメラⅣ』

哀しみキメラIV (電撃文庫)

今日の更新は、来楽零『哀しみキメラⅣ』です。

 

あらすじ・概要

ふたりきりになってしまった純と綾佳。ふたりは不穏な気配がある京都に向かった。そこではモノを封じ込めた結界がまた開きかけていた。どうやらそれは、仙谷と同行している少女が関係しているらしい……。すべてに決着をつけるため、キメラたちは最後の戦いに挑む。

 

己のやれることをやって選んだ結末

ここで生きてくる序盤のリフレイン。このシーンを読み返すたびに「この作品に出会えてよかった……」と思います。

水藤も、純も、綾佳も、己のやれることをやり、できるかぎりの望みを込めて、あの結末を選んだ。その事実が最高にいいんですよね。

だからこそ、この作品は悲劇ではありますがどこかさわやかです。戻ってこないものも含めて背負って生きていくから。

 

この巻で好きなのは戸塚と水藤のラブストーリーですね。ふたりは悲劇が運命づけられていましたが、戸塚が引き留めなかったら、永遠に水藤は純と彩佳を裏切った存在だったかもしれません。

簡単には幸せになれないし、わかり合うこともできませんが、それでも蜘蛛の糸のような救いがあるこの作品が好きなんですよね。

 

◎ここからネタバレ◎

 

やっぱり何度読んでも綾佳が四人分の命を抱えて生きていくっていうのが最高に泣けてくるんですよね。三人の魂は彼女が持っていってくれます。

ほぼ人間になった綾佳がプロポーズ(概念)されまくるのにも笑うけれどわかります。支えてあげたいし、償いたいですよね。でもそれをあっさり振り切っていくのも綾佳らしい。

 

ハッピーエンドではないけれどバッドエンドとも言い難い、しいて言うならベストエンドの終わり方だったと思います。大好きです。

哀しみキメラ (電撃文庫)

哀しみキメラ (電撃文庫)

  • 作者:来楽 零
  • 発売日: 2015/09/12
  • メディア: Kindle版