今日の更新は、寺島ヒロ『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』です。
あらすじ・概要
漫画家の著者の家には、ふたりの子どもがいる。彼らはふたりともASDの診断を受けていて、不思議な行動をする。体内時計の不具合、朝起きられない、学校での立ち歩き。自らも発達障害を持つ著者は、そんなふたりを見守り育てていく……。
ギフテッド家庭の生活を垣間見る
ふたりの子どもはともに高IQで個性的な才能を持ち、おそらく母親である著者もかなり知能が高い……という高知能発達障害家庭です。
うちもこの家庭ほどあからさまではないのですが、家族ほぼ全員机に向かうのが苦ではない、読書をネタに雑談をするような勉強大好き家庭なので、親和性が高かったです。
おおよそ発達障害の子育ての話となるとあれが困っている、こんな子に産んでごめんなさい……みたいな鬱々した内容が多いんですけれど、けろっとした明るさのこの作品は新鮮でした。
日常の面倒ごとはありますが、ふたりの子どもは楽しく育っていますし、母親である著者自身も悲壮感がありません。
特に理系に強い兄、音楽や工作の才能がある妹の、才能エピソードが面白いです。このまますくすく育って素敵な学者やクリエイターになってほしいです。
ただ「高IQで才能のある子ども」「発達障害に理解のある親」「それなりに好意的な周囲」と、かなり環境に恵まれている人の話なので、逆に環境に恵まれていない人には自分と比べてしまってつらいかもしれませんね。
むろんこれはエッセイなので、描かれていない苦労はたくさんあると思うのですが。
「つらい話」を見てほっとしたいタイプの人にはおすすめしません。