あらすじ・概要
著者の息子が入院中、ひざの痛みを訴える夫。さまざまな検査をしても原因がわからず、ようやく腫瘍ができていることがわかった。すぐ帰れるはずだった手術の日、腫瘍が悪性であることが判明し、抗がん剤治療が始まった。骨肉腫になった夫と看護の日々を送る著者を描いたコミックエッセイ。
骨肉腫のリアルな看病生活
わかりやすくオチがある、構成がはっきりしているタイプのコミックエッセイではないんですが、これはこれでリアルでした。
日々の看病や、夫の実家の遺産争いの調停、出費に次ぐ出費で追い詰められていく著者。病気で苦しむのは本人だけではないのだなと改めて気づきました。
このコミックエッセイでは、手術が成功し一応は日常生活に戻れました。でも、最悪の事態になることもあるわけで……。そう思うと、激動の入院生活から死別へって相当きついでしょうね。
主治医とのコミュニケーションの齟齬も、ありそうで他人事ではなかったです。
著者の夫の主治医は悪い人ではありません。ですが 患者をなぐさめるようなこと、勇気づけるようなことは言わないし、事実を話しているだけで冷たく感じてしまうようなところがあります。
科学とデータの世界で生きている人と、「安心して」話をするのはちょっと難しい。どちらが間違っているわけでもない、ただ文化の違いです。それゆえに悩むのはわかります。
わかりやすく「周囲の助けで治りました!」みたいな話ではないのですが、エピソードが生々しくて参考になりました。