ブックワームのひとりごと

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男子高校生と美少女オートマタの間で揺らぐ自我―こまつれい『101メートル離れた恋』

101メートル離れた恋 (講談社ラノベ文庫)

 

あらすじ・概要

男子高校生のユヅキがある日目覚めると、セブンスというオートマタになっていた。そこは現代社会に似ているが、魔法に満ち溢れた世界。オートマタとしてレンタルされ、男性と性行為を行うセブンスは精神をすり減らしていく。そんな中、セブンスはイチコという少女にレンタルされ……。

 

シーンによって浮かび上がる自我が違う

主人公が「男子高校生のユヅキ」と「女性型オートマタのセブンス」の間で自我が揺らいでいるところがTSF的に興奮します。

ユヅキは男子高校生なのでかわいい女の子にちょっと優しくされるだけで心惹かれてしまいますし、オートマタのセブンスは過酷なレンタル生活の中で「友達」として接してくれるイチコが大好きになってしまいます。シーンによってどちらの性別が浮かび上がってくるか変わるところが最高。

 

あと女の子同士のくだらない会話の解像度が高いんですよね。1ページほぼ会話文みたいなシーンもあるのですが、イチコとセブンスがしょうもない会話をしていても不思議と嫌ではないのです。会話のテンポがいいし、ああー私も友達とこういう話し方するわ~っていう共感をしてしまいます。

そして、セブンスにはレンタルしている間こういう何気ない会話をする相手がいなかったのだな……と思うと、コロッと惚れてしまうのも納得です。

 

キラキラしたまさしくお人形さんみたいなデザインのセブンスに比べて、イチコが三白眼、ボブヘアーのちょっと庶民的な感じの少女なのもポイント高いんですよね。これはイラストレーターも指示をした編集者もいい仕事していると思います。

 

オチとしてはTSFとも百合とも言い難いような話運びになります。セブンスチート過ぎるだとかこの世界設定の詰めが甘いとかツッコミどころはありますが、それを補って余りあるくらいに主人公ふたりがかわいかったです。

 

(ここからネタバレ)

 

いやまさか、「ユヅキはセブンスの作った架空人格だから厳密にはTS百合じゃなくて完全に百合」というオチが待ってるとは思いませんでしたよ。

「TSF百合は百合じゃないですが!?」って怒ってた人これ見たらどう思うんでしょうか。

101メートル離れた恋 (講談社ラノベ文庫)

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摩訶不思議図鑑―動くおもちゃ・オートマタ 西田明夫の世界

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