ブックワームのひとりごと

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大阪で収集した怖くて不思議な話―田辺青蛙『大阪怪談』

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大阪怪談 (竹書房怪談文庫)

 

あらすじ・概要

大阪には、さまざまな怪談がある。天王寺駅にいる幽霊、堀江の侍姿の亡霊、ぬいぐるみを拾った男性が助けられた話。大阪の歴史や伝承に触れつつ、著者が大阪を拠点にZOOMやSkypeを駆使して収集した怪談集。

 

現代大阪フォークロア

すごく面白かったです。

まず怪談集にしては結構怪談本題以外のエピソードが多いです。著者がその階段に出会った経緯や怪談を教えてくれた人間の描写など、バックグラウンドの説明がされています。

しかしその内容が怪談の怖さ、恐ろしさを補強していい効果になっています。特に堀江の侍の怪談を教えてくれた女性の描写なんて、女性の様子含めて怪談になっています。

しかもコロナ禍の中で収集された怪談集なので、ZOOMやSkypeなどのデジタルツールを使用しているのが今時ですね。

 

怪談の内容そのものも、ローカルなネタが好きな私としては楽しかったです。

私自身も大阪出身なので、天王寺駅、森之宮、八尾など登場するひとつひとつの町を想像しながら読みました。地元出身の人間が読むと非常に臨場感があります。

 

怪談と言いつつ、あまり怖くない内容のものも多いです。まめだ(豆狸)が家に憑いている話や、拾ったぬいぐるみが助けてくれる話などは、怪談というよりちょっと不思議でほっこりする話です。

特にぬいぐるみが助けてくれる話は、内容は過酷だけれどちょっとほろりとする話でしたね。語り手である男性が助かってくれてよかったです。

 

私は怪談を信じる方ではなくて、懐疑主義的に扱ってしまうのですが、この怪談集は大阪の歴史や文化、過去にあった事件なども含めて紹介されていて、フォークロアとしても面白かったです。

民話や都市伝説など、民俗学が好きな人にはおすすめです。

大阪怪談 (竹書房怪談文庫)

大阪怪談 (竹書房怪談文庫)

  • 作者:田辺青蛙
  • 発売日: 2021/02/27
  • メディア: Kindle版
 
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