あらすじ・概要
高校教師で同性愛者である美彌は、出会い系アプリでナナカという大学生と出会う。19歳との年の差、ナナカのまっすぐさに後ろめたさを感じつつ、美彌はナナカに惹かれていく。しかしナナカには秘密があった。
リアリティのあるずるい大人が若い女の子に惚れる
Kindle Unlimitedで読了。
ナナカの正体にある仕掛けがある以外は、年の差ものとしてはベッタベタな展開をします。だいたい予想通りのオチになると言っていい。
しかしそれに伴う美彌の心理描写にすごくリアリティがあります。
大人になって、永遠の愛なんてないと気づきつつ、将来を前提とした交際を求めるナナカと付き合う美彌。ときには保身に走り、憶病になって、それが結果的に相手を振り回しています。
ずるーい!! と思いつつ、ずるくなってしまうのもわかるんですよね。大人になると失うのが怖くなりますから。
ウジウジした主人公で好みは別れると思いますが、私は面白かったです。
とはいえ大人になることが否定されているわけではありません。わだかまりを持っていた友人と和解できたり、元恋人と再会して仲良く話せたり、そういう「時間が解決してくれる」描写もあったのがほっとしました。時間で解決、ができるのは大人の特権ですね。
美彌のセクハラや社会の偏見への悩みや葛藤も「ありそう」なもので、いい意味で他人事とは思えません。
百合だけど萌えっぽくはないというか、恋愛を前提とした人間ドラマという様相でした。