ブックワームのひとりごと

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現代に流行りやすい感染症とは―井上栄『感染症 増補版 広がり方と防ぎ方』

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)

 

あらすじ・概要

何度も人類を危機にさらしてきた感染症。どんなときに感染症は広がるのか? 感染症の種類や伝播する過程を紹介し、正しく対処する方法を語る。感染症をきちんと恐れ、科学的知識で戦う本。

 

今と昔では流行りやすい感染症が異なる

難しい部分も多かったけれど知らない情報がたくさんあって楽しめました。

 

まず興味深かったのは、過去と現代では流行する感染症の様相が変わっていることです。昔はがっつり症状の出る感染症が流行りやすかったけれど、今は潜伏期間が長かったり飛沫感染をしたりする染症が流行りやすいようです。

現代は下水道や手洗いなど衛生管理がしっかりした上、感染症患者がきちんと隔離されるようになったので、発病率が高くて重い症状が出やすい感染症は爆発的な感染を起こさないようです。

しかしこれ、「流行りやすい感染症」の条件を新型コロナウイルスが満たしてしまっています。無症状感染が多い・飛沫感染をする・症状が出るまで時間がかかる、という。ピンポイントで人類を狙ったかのようです。

 

性感染症の章では著者がコンドームの重要性について丁寧に語っていました。

著者はピルを処方箋なしで売ることに反対の立場なのですが、その理由が「ピル使用が一般的になれば、コンドーム装着率が下がり、エイズ感染者が増える可能性がある」というもの。なるほどそれは一理あります。

ピルによる避妊はお互い性感染症にかかっていないという保証があればいいけど、そうでない人間とピルで避妊するのはかなりリスクが高いですよね。

しかし、ピルの処方箋なし販売に反対する人を「女性を抑圧している」と決めつけて語るのはよくないなと気づかされました。インターネットは極端な意見ばかり取り上げられてしまいます。

著者自身も「性病に感染して健康を害するリスクは女性の方が大きい」と言っているので、女性が憎くて反対しているわけではありません。

子宮頸がんのこともあるしな……。

 

読むのにかなり時間がかかりましたがその分情報量が多かったです。面白かった。