ブックワームのひとりごと

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創作を志す大学生たちが、芸術学科で俳句を学んで評価に一喜一憂―本田『ほしとんで』

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あらすじ・概要

八島大学藝術学科に在籍している流星が入ったのは、ゼミの中でも特に地味な俳句ゼミ。しかし教授の指導や、個性豊かなゼミ生たちと交流していくうちに、俳句の面白さに目覚めていく。句会、吟行、連歌など、俳句ならではのイベントに参加する流星たちは、そこで言葉を紡ぐ楽しさを見る。

 

創作をやるオタクあるあるがイタくも笑える

創作をやるオタクあるあるが多すぎて笑ったり身につまされたり。特に小説を書く女性、薺の感想に一喜一憂してしまうところには「わ、わかる!」となってしまいました。

貶められることも褒められることも過大に感じてしまって、挙動不審になってしまうところが他人とは思えませんでした。

それでいて、描き方がコメディなのでイタいシーンがあってもあまり深刻にならずに読めます。どれだけ面白おかしく書いても、決して創作をやる人間をばかにするような描写はしないし。

 

メインテーマである俳句のほうも、ひとつの創作をテーマにわいわいがやがやする楽しさと気恥ずかしさが出ていて面白かったです。

句会で評価にひやひやしたり、似たような表現をしてしまってパクリじゃないかと焦ったり。

そして俳句を通して、俳句ゼミの学生たちは小説や漫画など自分の創作に対して少しずつうまく付き合えるようになっていきます。

 

個人的に好きなキャラは薺とみどり。創作に重たい感情を持つ薺と、ある意味文学に対して突き放した価値観を持つみどり。両極端なキャラがいるからこそ全体のバランスが取れています。創作万歳! 一辺倒ではありません。

めんどくさいキャラは多いけど描写にベタベタしたところがないんですよね。だからこそ笑えます。

 

最後は劇的さもなくさくっと終わります。

もっと掘り下げてほしかったと思うキャラクターもいますが、こういう風にあっさり終わるのも『ほしとんで』らしくていい気もします。面白かった!