ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

彼女の心を手に入れるため、ゲームセンターのピンボールでスコアに挑む―とよ田みのる『FLIPーFLAP』

FLIP-FLAP (FUNUKE LABEL)

 

あらすじ・概要

高校を卒業するときに思いを寄せていた女の子、山田に告白した深町。彼女が付き合う条件として出したのは、ゲームセンターにあるピンボールで、驚異的なプレイヤーである「UFO」のスコアを超えること。なりゆきでピンボールを始めた深町は、徐々にゲームにのめり込んでいく。

 

我の強いトロフィーガールを射止めるのは勝利ではなく「分かち合うこと」

何かに勝利すると女の子が得られる、いわゆるトロフィーガールの文脈なんだけれど、トロフィーガールにありがちな、「強い俺に惚れてくれる美少女」的ないやらしさは感じないところがいいです。

そもそもヒロインの我が強く、自分からトロフィーになりに行ったり、「これが好き」というものをはっきり持っていたりします。だからたとえトロフィーとして自分を与えるとしても嫌になったらとっとと別れそうだなと。だから安心できます。

 

テーマとなっている「勝利」も他人にマウントを取ろうという雰囲気ではありません。努力の先にあるものを見たい、ゲームをしていて心ふるえる瞬間を味わいたい、その結果が「勝利」なわけです。そしてヒロインと主人公はその感覚を共有することで仲良くなっていきます。

最初は女性目当てだった主人公が、スコアを追ううちにピンボールの面白さに目覚め、そして「ピンボールが好き」であるヒロインについて理解を深める……。という描写が丁寧でした。

 

結構慎重にやらないと嫌なネタになってしまう作品だと思います。しかし男女の力関係のバランス感覚や、熱いピンボールの描写、ピンボールに見せられた人々の愉快さでさわやかにまとまっています。

気持ちのいい作品で面白かった!