ブックワームのひとりごと

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女装癖のあるトラブルメーカーの弟とトンチキ展開に巻き込まれる―我鳥彩子『うちの中学二年の弟が』

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うちの中学二年の弟が (集英社オレンジ文庫)

 

あらすじ・概要

湖子には、六区という弟がいる。彼は女装癖があり、少女漫画ばりの妄想を展開し、トラブルに頭を突っ込む中学二年の少年だった。六区が何かに頭を突っ込むたび、湖子もそれに巻き込まれて翻弄される。奇妙な姉弟の関係を描いた連作短編。

 

頭空っぽにして読むべき作品

「ちょっと変わった弟と、常識人の姉のほのぼのストーリー」を想像していたらそういう方向性ではありませんでした。トンチキコメディでした。

これは細かいことを考えず、頭空っぽにして読むべき作品ですね。

 

弟の六区には女装という悪癖があるんですが、何ゆえ「悪癖」かというと、美少女の格好をして「実は男なんだよね」とほくそ笑むのが好きという……からかい目的なのです。

女装してるだけで悪癖というのは昨今問題があるけどこれは間違いなく悪癖。人をもてあそびたがっている。

そんな六区がトラブルに頭を突っ込み、姉がそれに巻き込まれるという話。

 

しかし惜しいのは、中途半端にミステリ要素を導入してしまったため、トンチキ小説として物足りないものになってしまったことです。

ミュージカル映画の世界に行ってしまう「ひろいずむ六区」の回のトンチキさとテンションで一冊全部書き上げていたらもっと評価が上がりました。

ちょっと疾走感が足りない気がします。

 

癖が強すぎて気軽におすすめはできませんが、頭空っぽにしてわけのわからない展開に身を任せたい人にはいいかもしれません。